エジプト旅行記−3

12月17日(金)−1

 アパートは快適だったので、前日はすぐに眠りに落ちて朝6時頃に目を覚ました。どうやら私は、時差ボケにならない得な体質のようだ。(と思っていたが、西に移動するのは時差ボケがひどくなく、東に移動するときが大変らしい。案の定、帰ってきたときは1週間くらい時差ボケになっていた)
 今日は、14時にマホメットさんにカイロを案内してもらう予定だったので、午前中自分一人でカイロを探検することにした。早朝、アパートを出たが、まわりは完全な住宅街。前もって聞いていた店のある方向へ向かって歩いてみた。アパートは、片側5車線も有ろうかというハイウェーに面していたので、たくさんの自動車が走っていた。まず驚いたのは、ナンバープレート。噂には聞いていたが、いわゆるアラビア数字ではなく、古代アラビア数字が使われているのである。
 
 
 

5 4 3 2 1
10 9 8 7 6
 

を示しています。

つまり、o・とあれば50。∧7Vとあれば768なわけ。一般的にこの数字が使われており、商店の値札もこの表記である。あのミミズのはったようなアラビア文字

(ちなみにこの文字は、右から左に読みます)の他に、数字も一筋縄では、理解できないのがアラビア語圏なのである。
なんと、書いてあるでしょう?(自動車ナンバープレート)

  店の近くに公衆電話がある。この公衆電話は最近急激に増えたものでICカードを使った最新式のものである。ガイドも液晶表示され、素晴らしいものであるが、最初は英語表記にする方法がわからず、例のアラビア表記に苦しめられてしまった。(旗のボタンを押すと英語表記に変わる)日本への通話は、1分30秒で10LE(300円)。[Menatel Card Selling Here]なんていう看板が店に書いてあったので、ここで買えるんだ。とわかったものの、コミュニケーションの仕方がわからない。周りにいる人に身振りを交えて英語で話しかけると、幸い英語の分かる人がいて無事に購入することができた。
 このうちの一人が、いかにもイタリア人という顔立ちをした親切な(面白い)人で、持っていたエジプトのガイド本(地球の歩き方)のエジプト会話を頭から20文くらい発音練習させられてしまった。まわりにも3−4人のエジプト人が集まってきて、みんな面白そうに話しかけてくる。(英語を話せる人も結構多い)住宅街だったので、外人(結局このあたりでは、最後まで一人も旅行者を見かけることはなかった)が珍しいみたい。
 まだまだ、約束の時間までは間があるので、次には「ハン・ハリ・リー市場」にタクシーで出かけた。アパートからは、約20分くらいの距離であるが、タクシー代は5LE(150円)日本からするとただみたいな値段。ところが、エジプトのタクシーにはメーターがついておらず、乗り込む前に交渉しなければならない。下手な英語で、目的地を言って、いくらかを尋ね、納得すれば乗り込む。この時もタクシーによって、20LE〜3LEと大きな幅があった。(2LEは、チップとしてタクシーの運転手に渡した)無事に10時頃ハン・ハリ・リーに到着した。

−ハン・ハリーリ

  ここが、ハン・ハリーリだよ。といわれて、タクシーを降りた。前に、いきなり大きな砂色のモスクがある。カイロはどこかしこに大きなモスクがある。いずれも古い。日本で古いというとだいたい50−100年くらい前をさすが、こちらでは桁が一桁違う。このモスクも500年前に建てられたものらしい。

  活気のあるおみやげ屋を期待していたが、殆どの店がしまっている。おそらく、ラマダーン期間中であることと、金曜日はイスラム教の国ではいわゆる日曜日にあたるため(公共機関の公休日。かわりに土日は開いている)、早朝からはあいている店は少ないのだろう。迷子にならないように地図と首っ引きで歩いていたが、なにせカイロの市場は細い曲がりくねった道が多く、すぐに迷子になってしまった。まあ、マホメットさんの住所の書かれた名刺を持っているので、通りに出て、タクシーに乗ればよいのだから、まあ心配はない。

  道を歩いてよく見かけたのは、大きな荷物(だいたいミカン箱の段ボールくらい)を手も使わずに頭に乗せて悠々と歩いている女性たちである。別に特別な道具も使わずに微妙にバランスを取っている。どうして落ちないのだろうといつも感心しながら、見ていた。
 ハン・ハリーリでは日本人の観光客も多いらしく、ところどころに日本語の案内もあるし、やや怪しげな日本語を話しかけてくる店員も多い。前の日に、マホメットさんから、「もし君が買おうとすると全ての価格が3倍になるから、自分ではおみやげを買うな。」と言われていたので、今回は眺めるだけ。

  当てもなくぶらぶらしていると、金ダライを作っている店や日本のボールペン・時計(結構カシオが多い)を売っている店、衣服の店、など何でもある。日本に売っているもので、お金さえ気にしなければ手に入らないものは、ないだろうというくらいものは豊富である。さすが、アラビア商人抜け目がない。 途中、果物ジュースを売っている店を見かけたので入ってみた。なにやらオレンジを小さくしたような果物があり、その果物を指さすとその場で絞ってくれた。価格は、1LE(30円)。何しろ殆ど最初の買い物なので、エジプト事情が良く分かっていない。20LE紙幣を差し出したら、お釣りが無いという。仕方がないので5LE紙幣を出すと、おつりを2LEしかくれない。ダメ、ダメ、とジェスチャーで示してようやく、3.75LEだけくれた。どうやら、この手の店では、お釣りが必要ないように出さないとぼられるようだ。ジュースはグレープフルーツのような味であまり美味しくなかった。それ以外の果物もたくさんあるので、おいおい試していこう。
 この時、母親と子供がいて、ジュースを持ち帰ろうとしていた。日本だと当然紙コップか何かに入れて、ふたをするところだろうが、ここはエジプト。普通のビニール袋(スーパーなどで、肉類を買ったときに入れる袋)に入れて、手渡していた。破れたりしないんだろうか?まあ、一番安い渡し方かもしれないが。。

  ずんずん、歩いているといつの間にかラムセス駅に来ていた。だんだん疲れてきたので、タクシーに乗って帰ろうとすると、今度は運転手の提示がいきなり、20LE−10LEになってしまった。来るときは5LEだったのに。。と思ったが、いったいアパートがどこにあるのか皆目分かっていないのだから、仕方がない。10LE(300円)を支払って帰った。

  初日から自分でタクシーを使って、町を旅行するなんて、我ながら大したもんだ。といい気分であった。「さて、ガイド本をじっくり読んで、これからの計画でも立てよう。ルクソール、アスワンにも行きたいし。。」と思いながら、部屋のいすに腰掛けたとき、ガイド本が見あたらないことに気がついた。なんと、途中で落としてしまったのである!良く分からない都市で、しかも初日にガイド本をなくすことがどういうことを意味するのか。

 この日歩いた距離:約25キロ 


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