エジプト旅行記−12

99年12月19日(日)−7

 タクシーに乗り10分くらいたって、ようやくひとつの店の前で止まった。どうやら、ここに電話があるようだ。この店で電話を貸してもらった。公衆電話ではないようだ。(3年くらい前までは、カイロの町中でもこのように、店で電話を借りていたらしい)アリーが私の名刺を見て、マホメットさんの家に電話をかけてくれた。(番号くらいは読めるみたい)
「まだ、カイロから遠くにいるから、7時までには帰ることができない。元気にしているから心配しないで。」
と伝えて切った。
 砂漠の中でらくだに乗った興奮もややさめてきて、ふとまわりを見ると大の大人が3人もいる。何かされたら、ひとたまりもないとどきどきしながら、タクシーの中でおとなしくしていた。エジプト人たちは、お互いに話をしながら快調にタクシーをとばしている(エジプト人は、みんなおしゃべりです)40分くらい経って、見慣れた景色になってきた。ようやく、アパートまで着いたようだ。

 お金を持ってくるから、ここで待っていてくれ。と言うまもなく、どやどやと全員で、私のアパートまで全員入ってきた。これはかなりピンチ。何かされたら、もうひとたまりもない。足りないお金は、200LE。奥の部屋に入って、お金を持ってきた。(しかし、この時には、チップとしてさらに50LE出してもいいかなとも思っていた。。)ムスタファは、よろこんで受け取った。
「タクシー代も払ってくれ。」
えっ!やっぱりタクシー代もとるの??40LEらしい。もう、細かいお金は残っていないから、再度奥に行って50LEをだすと、タクシーの運ちゃんは、「お釣りはないよ。」とのたまう。
・・もういいよ。10LEくらいあんたにあげるよ。
と思ったら、ムスタファがじゃあぼくが10LE払ってあげよう。とわたしにお釣りをくれた。 ????
 ムスタファとタクシーの運転手は、アパートの階段を下りていった。(私のアパートは3階にある。イギリス式に数える(地表が0階。日本の2階が1階になる)ので実際は4階)残ったのは、アリーだけ。今まで、村の様子、ピラミッド、食べ物を見る度に、いつもカメラを持ってもう一回来たい。と言っていたのを覚えていたようだ。
「僕に会いたかったら、明日もタハリール広場にいるけど、どうする?」
「・・残念だけれど、旅行の日程もあるし難しい。」
「そうかい。まあ、いつも今日会った場所にいるから、会いたくなったら来てくれればいいよ。」 と言って、アリーも去っていった。

 まだ、気持ちはいい。が、よく考えると日本でも1日1万円稼ぐというのは、大変なことである。もしかしたら、やられたかもしれない。こういうときに頼りになるのはマホメットさん。19時30分くらいだったので、歩いてマホメットさんのアパートまで行った。
 インターホンで(マホメットさんのアパートは10階にあるが、0階に専用のインターホンを設置している。むろん、アパートにはエレベーターがある)マホメットさんの所在を聞いたら、お祈りに出かけているとのこと。まあ、しばらくしたら帰ってくるよと言われたので、そこで待つことにした。

<・・・・・・>

 マホメットさんはしばらくして戻ってきた。出来事の一部始終を話したとこ ろ、
"Big cheat!"
といって、頭を抱えてしまった。

「120LEならまあ許せる。どうしてその後200LE支払ったのか。彼らをこちらまで連れてくれば、交渉してあげられたのに。」
 あとでガイドブックを調べてみると、1時間あたり10−20LEが適切な価格。3倍から10倍のお金を支払ってしまったようだ。今回支払ったお金は、エジプトに着いた時に当座の費用のつもりでマホメットさんに渡そうとしたお金とほぼ一致している。日本人の感覚なら、何か特別なことをすると1万円が普通ではなかろうか。おそらく、ムスタファは日本人の金銭感覚を熟知していた上で、お金を請求したということであった。むろん、アリーも詐欺師の一味であり、話していたことはたぶんほとんどが作り話。村に入ったときにたくさんの人がアリーに話しかけていたのも、「また、バカな日本人を連れてきたよ。」ぐらいのことだったのだろう。まったく腹立たしいが、プロの詐欺師 にはかなわない。
 カイロの中心地からアブシル村まで連れていってもらい、3時間ラクダの旅をして、田舎のBreakfast(夕食のこと)を楽しんで、余ったお金を貧しい人たちに寄付したと思うしかないだろう。

 最初の日に降ろした1000LEも今日の出来事でほとんどなくなった。
(これまでの大まかな出費) 1LE=30円
らくだ関係   350
タクシー     55
テレホンカード  60
葉書+切手   285
(日本までの航空便は、1.25LE 封書は2LE)
地図       40 (3つで)

 翌日、マホメットさんにトラベラーズチェックを両替できる店に連れていってもらい、それからガイド本を探してもらう約束をしてアパートに帰った。
まだ、エジプトについて3日しかたっていない。


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