エジプト旅行記−19

99年12月22日(水)−2

 タハリール広場付近で話しかける人を信じては馬鹿を見るので、おまえなんか相手にしないよ。という意味で、手でNo thank youと示した。すると、
「その態度はなんだ?日本では、特別な意味があるのか?」
「いや、エジプト人に騙されたばかりだから、神経質になっているんだ。」
「日本人は、悪い人間ばかりか?いい人間も悪い人間もいるだろう。エジプト人だって同じだ。最初から偏見を持って話さないのは良くないよ。一体今日は、どうするつもりなんだ?」
「これから、エジプト考古学博物館に行く。だから、もういいよ。」
「今日は、ラマダーンだ。どの政府機関も、もう閉まっているよ。僕に良いプランがある。今から、ギザのピラミッドに行かないか?」
(おお、来たぞ。この前と同じパターンだ。)
「いや、いいよ。そうやって僕を騙すつもりだろう?」
「そんなことはない。僕はバスを教えてあげるだけだから、大丈夫だよ。」
 腹の調子も良くないし、あまり気は進まないが、まあ、バスを教えてもらうだけなら、大丈夫だろう。ここで騙されたら、大馬鹿者だ。と思いながら、歩いていた。(エジプト考古学博物館もバスの発着所も同じ方向)
「ほら、さわってごらん。」と二の腕を差し出した。「僕は、ボディビルをやっているから鍛えているんだ。」
さわってみると、まるで鋼のように鍛えている。こんな人と喧嘩したら(まあ、誰と喧嘩しても勝てないだろうが)ひとたまりもなく、全財産を取られてしまうだろう。結構危険な人物だ。
 そうこうしているうちに、エジプト考古学博物館の裏側にたどり着いた。
「ほら、閉まっているじゃないか。僕の行ったとおりだろう。ピラミッドへのバスを教えてあげるよ。」
確かに、博物館は閉まっている。まあ、バスを教えてもらうだけなら、お金を取られることもないだろう。一緒に乗り込んできたら、降りればいいし。と思って、バスの発着場まで付いていった。
 この前アリーに騙されて載ったバス停と同じである。何から何まで、同じパターン。バスの運転手に話しかけて、どうやらピラミッド行きのバスを見つけたようだ。
 と、最初に自分からバスに乗り込んでいった。(やっぱり)
「君が行くんだったら、僕は行かないよ。じゃあね。」
「なにを言うんだい。僕は君とは一緒には行かないよ。友達が待っているから、このバスに乗るだけだ。」
「そうかい。じゃあ、友達に会えばいいよ。バイバイ。」
彼を残してすたすたと歩き出した。この前と同じパターンだ。危ない危ない。今回が初めてだったら、ころっと騙されて、五体満足でいられなかっただろう。でも、これで追いかけてこなかったら、本当はいい人だったかもしれない。などと思いながら、しばらく歩いていると、別のエジプト人が話しかけてきた。なにを行っているか良く分からなかったが、今日はもうエジプト人とこれ以上関わり合うのはごめんだ。適当に相づちを打っていた。
 すると、さっきのトルコ人が向こうから追いかけてくる。(やっぱり騙すつもりだったんだ。)さっきのエジプト人になにやら文句を言っている(おそらく、俺が先につばを付けたんだから、横取りするな。てな内容だろう)そして、
「さっきは、最初からいっしょに行くと言ったら、君が心配して行かないと思ったんだ。大丈夫だよ。一緒に行こう。」
もう、いいよ。タネは割れている。さすがに引っかからないよ。
 相手にせずに、博物館の方へ向かった。博物館に行くと、当然だが開いている。(もっとも、時間は14:30まで)やはり、完璧な詐欺師だったようだ。今回は前回の教訓が生かせたようだ。入場券(10LE)を買って、エジプト博物館に入った。
エジプト考古学博物館の入場券

−国際学生証
 エジプトでは、学生が非常に優遇されている。International Student Identification Card(国際学生証)を示すと全ての入場料が半額となる。私はあらかじめ日本で作っていったが、ここはエジプト。お金を出せば、学生証を作ってくれるところがある。日本人で20代であれば、その手の店に行って費用を払えば(30LE=900円)適当な大学名で作成可能。(ちなみに、日本で作ると1500円くらいかかる)噂によると、日本の免許証を示して、学割にしてもらった人もいるらしい。エジプトを旅行するには、学生の時か、 年の割に若く見える人が行くと経済的だ。(遺跡の入場料は、バカにならない。)


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