エジプト旅行記−20

99年12月22日(水)−3

 博物館の入り口には、拳銃を持った軍人が2−3人いる。街のあちこちに軍人がいる(各交差点に1人くらい)ので、それほど違和感はないものの、ちょっと過剰な警備だ。未だに、イスラエルと交戦中の非常事態宣言が続いている(実質的には、すでにイスラエルとは友好関係にある)ことと、2年ほど前のルクソール事件の影響らしい。人件費がもったいないと、マホメットさんもこぼしていた(みんな若くて、20代前半くらい)

 エジプトのどの遺跡も、カメラを持ち込む際には、入場料の他にさらに10−20LEかかってしまう。カメラは持っていたものの、あまり写す気もないので申告せず、博物館にそのまま入った。(ズボンの後ろポケットに入れていた)
 陳列品を見る間もなく、お腹の調子が急を要してきたので、トイレに向かう。(あのまま、ピラミッドに向かっていたら、とんでもない目に。。)ここは政府機関だし、お金を取られることもないだろうと思っていたが、清掃夫が「2LE(60円)」と言って、手を出してきた。あまりにも高いが、こちらはせっぱ詰まっているので、仕方なく支払う。トイレは綺麗ではないが、まあ我慢できる。用事を済ませて手洗い場に行くと、相変わらず清掃夫はいるし、またお金を要求されそうな雰囲気である。そこに、ヨーロッパ系の人が入ってきた。彼はチップの要求を手ではねのけ、平然と用を済ませている。どうやら、要求されると断りきれない日本人を甘く見て、ぼられてしまったようだ。政府機関でもこの有様だ。(あとで聞くと、トイレの適正チップは50pt=15円くらい)

 ようやく、陳列品にむかう。が、博物館は、大きな倉庫という感じで石像、石棺が雑然と並んでいるだけ。説明を見れば、おそらくすごいものだろうが、華やかさはないので、どうしても気を引かない。ラムセス2世の赤ちゃんの頃の石像などを説明してもらって、2階へ。2階の約半分のスペースを占めるのが、ツターンカーメンの墓にあった膨大な副葬品。お約束の黄金のマスクを(かなり人が多いと言うことであったが、そうでもない)、そして墓の副葬品を見るが、これも今一気を引かない。エジプト文明が紀元前に終了してしまったために、豪華さがないのだろうか。中国の秘宝に比べると、どうしても見劣 りしてしまう。しかも、数が多すぎて、いちいち見ていられないのだ。
 なんだよ。これで終わりか。。と思っていたところ、Mummies Hallと書かれた場所があり、入場料が20LE(学割で、一般だと40LE=1200円!)。この単語の意味が分からないし、(Mammy:お母さんと勘違いしていた)あまりにも高いので入場をためらっていると、結構人が入っていく。それほど広いスペースでもないのに、一体なんだろう?思い切って、入ってみる。内部の広さは、小学校の教室の半分くらい。ガイドは入場禁止のため、非常に静かだ。薄暗い照明の中エジプトの古代王朝時代の王のミイラが15体ほど陳列してあった。特に巨大神殿を建設したことで、もっとも有名なラムセス2世(ラムセス駅の由来でもある)も陳列してある。強大な権力を誇り、もっとも豪華な墓に埋葬されたに違いない王が、現在では単なる観光客の目の前にさらされているのである。歴史の皮肉とは言え、悲しいものだ。

 考古学博物館にいたのは、1時間半くらい。閉館時間も近づいてきたし、ただ、ざっと陳列品を眺めただけで終わってしまった。出口にはおみやげ物屋があり、ここなら騙されることも無かろうと、パピルスでできたしおり、手紙、カイロの市内地図などを購入した。初めて、結構いい買い物ができたのでは。
内訳:
しおり:小 2LE(60円)
    大 4LE(120円)
手紙:10通入りで 20LE(600円)
など。

封筒
しおり

 またも、ナイルヒルトンホテルにガイドブックを見に行った。あまり、いいものは相変わらずないが、とりあえず一般的なものでも買っておこうと、右のようなB5変形版130ページの日本語のガイドブックを購入した。(27LE=810円)全てのページがカラーで、しかも説明は日本語であるから、今考えると格安である。日本で買えば、2000円程度するであろう。日本人の旅行者が多いので、日本語版も印刷しているようだ。ちなみにこの本は、英語、仏語、独語、伊語、スペイン語、露語、ポルトガル語、CESKA EDICE?の各国語版もある。

 まだ、時間も早いので再度日本大使館に行って、ガイドブックを見せてもらうことにした。が、なんともう閉まっている。ここもエジプト時間で仕事をしていて、9−14:45までが受付なのだ。とんでもない話だ。日本の大使館なのに。。
 仕方なく、日本大使館を出ていると、大使館の人にあった。これ幸いと、ガイドブックを売っている場所を知らないか?と聞いてみる。
「Interncontinental hotel」に売っているのではないか。とのこと。
日本大使館からも近いのですぐに行ってみたが、やはりナイルヒルトンホテルと同じくらいの規模で、しかももう閉店。
 今日のところはあきらめて、地下鉄、バスといつものように使って、アパートまで戻ってきた。いつもの雑貨屋で、水とジュースを買い、その横の野菜屋(といっても、露天)で、オレンジを買うことにした。すごく甘いオレンジが1キロ1.5LE(45円)
 今日は、マクドナルドとオレンジを食べただけ。

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先日(00年3月)、福岡博物館で開かれているエジプト展に行ってみたが、この陳列品と比較すると、さすがにエジプトの博物館は、規模が違った。例えば、福岡では、石棺がガラスケースに陳列され、丁寧な説明がある。ところが、エジプトではこの手の石棺は、まるでがらくたのように通路に置かれ、誰でも手で触ることができる。エジプトでは見向きもされないようなちっぽけな作品が、メインの展示品。もちろん、この展示物がイギリスから持ってきた(植民地の時代に、エジプトから略奪したものだろう)という理由もあるだろうが


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